index > 2001.02.04
(最初に断わっておきますが、ここに書いてある人々の台詞などは、記録がある訳ではなく、私の記憶だけなので、多少違う場合もありますので、ご了承ください)
2001.2.4に『チョップ名人』Vocalist“じゃーも”こと“山本 年元”さんのお通夜がありました。
私はどうしても信じられず、現実を受け止めるために、その場所まで足を運びました。
受付に並んでいる時に、式場入り口に見える、立て看板そこには『式の後、七時頃より“奇跡の人・じゃーも伝説”がありますので、皆様、出席してください』とありました。
おいおい“奇跡の人・じゃーも伝説”て〜!!(笑)お通夜だよね?笑わせたいのぉ〜?(笑)笑いをこらえることもままならず、半笑いのまま受付を済ませ、式場へ入ると…おぉ〜いっ!!その写真はないだろ〜!!笑うぞ〜、これは!!(笑)そうです、祭壇を見ると、マルベル堂よろしくの姿のじゃーもの写真が…!背景は真ピンク、ベルベットの、あのスーツを着て、ポーズを取っているじゃーも…!!そりゃあ、じゃーもらしいけどさぁ…弔問客は…ねぇ?笑ろてしまうって!ねぇ?
笑いをこらえつつ、どうにか吹き出さず御焼香を済ませ、あまりの人数のため、私達は控え室で“奇跡の人・じゃーも伝説”の始まりを待つ…。
七時を少し回った頃に、チョップ名人のメンバーが作る“奇跡の人・じゃーも伝説”が始まりました☆
西秋さんとおっしゃる方と、我らがジャンボリーが司会でした。
最初のスピーチは、S.E.T.時代、同期だった、白土 直子さんと、丸山 優子さんでした。じゃーもに言いたいことを一言ずつ…。白土さんは「ふたり芝居の稽古をしてる時『顔で笑わせないように』って、いつも怒られてました。もう顔芸はしません」と。丸山さんは「本当に友達が多いなぁ、と。山本さんを通じて知り合った人を、山本さんを見習って、これからも大切にしていきたいと思います」そこで西秋さんに「自分の肥やしにしていこうと…」とツッ込まれサラっと「ええ、もちろん☆」と答えてました。…さすが、S.E.T.(笑)
そして、ふたりがじゃーもに送る歌。
じゃーもが最後に『山本 年元』という名前でS.E.T.でお芝居をした時に歌った『よっちゃんいかの歌』…「…スルメじゃないよ、酢漬けだよ…」誰もが“おいおい”と思ったら、その歌はじゃーもの作詞、作曲でした…(笑)でも、確かに歌ってたよ、芝居中に…(笑)そして、ジャンボリーがそこに割って入る。「僕は“カメレオン”っていう曲を歌ってたのがすごく記憶にある」その歌詞ってば…(笑)歌うのか?歌うのか、ジャンボリー?「俺はカメレオーン♪…」…歌った!!「…俺の特技は七変化〜♪後ろが葉っぱならグリ〜ン!!後ろがコンクリートならグレ〜!!〜♪」…もう、笑うしかない…(笑)
そして、白土さん…「私“山賊”って知ってる…『俺は山賊〜♪俺の特技はひとりじめ〜♪』ここまでしか知らない…」おいおい、メロディー一緒やん!!ダメやん!!(笑)「その歌じゃないでしょう!!」と西脇さんがツッ込む。「じゃあ“いちご白書をもう一度”」そして、歌い出す…「いつか〜♪むいか〜♪…」「そうじゃないだろっ!!」うわっ、ツッ込み、はやっっ!!「“じゅうににち〜♪”まで聞いてツッ込んでって言ったじゃん!!」
そんなネタが終わったあと、最後に、本当に贈る歌。研究生の卒業公演の時に皆で歌った歌。(タイトル忘れた…)ふたりは、もともと歌が上手い(そりゃプロだもん☆)ので、みんな聞き惚れていました。それにしても、ふたりとも辛いだろうに…声を詰まらせることなく、見事に歌い切りました。さすがは、役者さん!!
そして、メモリアルVTR。
チョップ名人、唯一のプロモーションビデオ?!から始まりました。久し振りに見たこのビデオ、面白すぎます!見事、私は笑い泣き(笑)そして、じゃーもが今まで出演してきたTVのVTRや、チョップ名人の数々のLIVEのVTR、そして、チョップ名人でのOFF SHOT…☆ここで思ったのは『この人って、誰かを笑わせてないとダメなのか?』だって、いつもどうやれば人が笑うか考えてる…。街で見かけた面白い人の話をしたり、カメラが回ってると嬉しそうに変なポーズ取ったりして…(笑)
このVTRの中、まだS.E.T.の団員だったじゃーもが、インタビューを受けている映像がありました。その中で「お休みはないんですか?大変ですね」と言われ、じゃーもは「そりゃ大変ですよ!毎日365日、休みなく稽古ですからね。でも、逆を返せば、毎日休みみたいなもんですよ。毎日好きなことやってるんですから。要は考え方だと思うんですよね」
その通りだ…人間、毎日を自分で選び取り、生活している。人はそれぞれ、辛いことを人のせい、周りのせいにしがちだが、その通りなのである。自分の選び取った人生、本当だったら、好きなことをやってるはずである。嫌なら、それを止めればいいだけなのである。要は考え方…その通りだ。そして、こうも言っていた。「僕は劇団員だから“役者”と言われるんですが、自分では“コメディアン”だと思ってますから」この言葉で、いつも誰かを笑わせていた理由がわかる…。最期に“チョップ名人”を選んだ理由も…。
彼には、笑いの神様が見えていたようにも思える。
それは、ずいぶん昔の番組で、迷彩服を着て、ターザンのように、木のつるでピラニアだらけの川(?)を越えるはずが、握力がないのか、ズルズル、バチャバチャ…おぉ〜いっ!(笑)そこまで握力ないかいっ!!だって、途中で落ちるとかだったらわかるけど、もう、最初っから水の中(笑)ピラニアだらけってわかってるから、すっごく慌てて水から上がってくるの!(笑)バカ〜っ!(大爆笑)
その後も、VTRは続き、チョップ名人のLIVEエンディングから、アンコールの声…そこでVTRは終わりましたが、やっぱり、じゃーもは出て来ませんでした。ここで、ドッキリではないことを実感しました…。アンコールをいくらしても、もうじゃーもは登場しないことを、
思い知らされました。そうです、じゃーもは、もうここにはいないのです…。
VTRが終わると、ジャンボリーがとつとつと話し始めました。「この何日間、何十本ものVTRを編集してこれを作りました。これを作っている時、いつものようにじゃーもに頼まれて作っているような気がしました。じゃーもも楽しんでくれたと思います。そして、ここで、チョップ名人のメンバーから1曲あります」そして…間…。
しばしの静寂を破ってきょうが一言…「俺ら、ボスがいないと何にも出来ないんだよね…」うなずくメンバー…そこで、ジャンボリーが「じゃあ、サブリーダーのオカムラ(仮)さん…」えっ?オカムラ(仮) ってサブリーダーだったの?知らなかった…「じゃーも、ありがとう。ゆっくり休んでください」「次…じゃあ、田口君!」とジャンボリー。「これじゃあ、全員何かしゃべんなきゃいけないじゃん」と、きょう。「たくさん勉強になりました。ありがとうございました」と、田口君。本当に泣きそうな…っていうか、泣いてる、ぐっち?ぐっちは「ありがとうございました!!」と一言。みーたは「私とボスは、いつも口が開いているので、自転車に乗ると、もう大変です…自転車に乗る時は、もう口を開けません」と。きょうは「今日来れなかったはやじーは、どうか安らかにと言ってました。僕から…本当にじゃーもは、癌で痛い時も、メンバーにはその素振りを見せませんでした。僕が1月半ばに行った時、必ず直すって言っていました。僕らもその言葉を信じていました。本当にお疲れ様でした」
そして、曲。みーたが「じゃあ、手拍子お願いします」オカムラ(仮)のアンプ内臓ギターの音が鳴り響く…『チョップマン』だっ!!お〜っと、チョップマン、登場!!チョップマンの踊りは相変わらず切れがいい☆踊りも変わらない…。もちろん、僕は一緒に歌ったよ♪会場で歌える人は、みんな歌ってた…異様なお通夜…☆しかし、今日は違ったっっっ!!
曲が終わって、ポーズを決めたチョップマンが吠えたのだっ!!「チョップマンがしゃべった〜っ!!」思わず私は叫んだ!すると、メンバーが慌てて、チョップマンを羽交い締めにしたりして(笑)そして、いつもの筆談☆「今日はありがとう」「じゃーもは永遠に心の中に生きている」みんな拍手☆
「一言いわせて!」
「え?いいよ??」とみーた☆すると…
「じゃーもー!!」
!!!!!!!!!!!!!!!!!!
肉声だっっっ!しかも“じゃーもー”って!!
そして、ひたすらメンバーに叩かれ、羽交い締めにされていたチョップマンがいつものように几帳面に脱いだ服をたたみ、去って行くと、ジャンボリーが一言…「チョップマンって、西秋さん?」(笑)メンバーが首をかしげる…続けるジャンボリー「だって、西秋さん“俺に任せとけ”とか言って、いたの初めだけ…」(笑)ひとしきり笑い、チョップ名人の出番は終わり、みーたが準備する…。「こっからは、泣かせモードにしなきゃ…」とみーた…。ジャンボリーが続ける…「奥様から、みーたにリクエストがありました。その曲を最後に歌ってもらいます」
曲の前に、奥様から一言。
「1年6ヵ月前、発病した当時、主人の大好きな先輩、岸谷 五朗さんがやっていた『みにくいアヒルの子』というドラマがありました。その中の曲『君を忘れない』という曲が大好きで、カラオケに行くと必ず絶唱していました。この曲は、主人の思いそのものだったんです。是非、歌詞をよく聞いてください」拍手☆そして、みーたがそれを受け「じゃあ、歌います!泣かないで…泣いたら20万だからね(笑)、音程はずさないように…」
『君を忘れない』は、私の中でも、とても特別な歌です。もちろん、フルコーラス、空で歌えます。だから、私も口ずさみました。もし、みーたが歌えなくなったら、私が歌う!!それくらい、気合いを入れて、邪魔にならないように…
静寂の中、アカペラで、みーたが一言、一言、大切に歌い出す…。
『君は くだけ散った 夢のかけらひとつひとつ 小さなその手で集め
いいさ やり直すと 笑っていた 君の頬に 流れる涙を見たよ
どうして 生きているの? 君は僕に尋ねたけど 答えを急ぐことはない やがてわかるから
僕も あきらめない 何度だって 立ち上がろう 恐れることなどないさ
君を 忘れないよ 互いの道 歩こうとも どこかで会えるといいね
君から教えられた 自分自身 愛するように 生きたい 人を愛したい 生命ある限り
君から教えられた 自分自身 愛するように 生きたい 人を愛したい 生命ある限り』
…みんな泣いた…至る所からすすり上げる音が聞こえた…。もちろん、みーたも。それでも、私は泣かなかった。それが“コメディアン、じゃーも”を送る礼儀だと思ったから。きっと、じゃーもは、ひとりひとりに「な〜に、泣いてんの!!恥ずかし〜!!」な〜んて、ツッ込みまくっていたことだろう(笑)
この歌のように、じゃーもは、命ある限り精一杯生きたのだろう、人を愛したのだろう。でも、じゃーも、どうして生きているのか、その答えはわかったのだろうか?
そして、最後に、西秋さんの言葉…
「じゃーもは、昏睡状態になっても、最後の2日間、最後まで闘っていました。僕ももしかしたら、ずっとは思い続けられないかもしれない、ちょっと忘れちゃうかもしれないけど、じゃーものことは忘れません」
そして、誰かが言った…
「『チョップ名人』は解散なの?」
「虎太郎が…」とみーた。
「虎太郎は、小さい頃のじゃーもに、本当に似ているので、きっとあんな奴になるんだと思います。だから、10年後にでも…」すると、西秋さんが「サブリーダーのオカムラ(仮)さん」みんなの顔を見回し、オカムラ(仮)が「チョップ名人は解散しません」とても力強い答え。拍手!!会場みんなが拍手をしていた…。「虎太郎が大きくなるとメンバーは老いるけど、それはまたその時考えるとして、『チョップ名人』は解散しないそうです!!ということで『奇跡の人・じゃーも伝説』は終わります。長い間、ありがとうございました!!」と西秋さんがしめた…。
こうして『奇跡の人・じゃーも伝説』は幕を閉じました。
じゃーもは、これからも永遠に、みんなの心に生き続けることでしょう!
じゃーも、今まで、本当にありがとう!!
この後、私達は、じゃーもさんの顔を拝見することが出来ました。やはり、泣くことに極端に嫌悪感のあった私は、じゃーもがどうしても普通の人間のサイズより小さい気がして「人間ってこんなに小さかったっけ?」とか「半目だよ〜」とか「歯ァ出てるよ〜、歯!!」とおちゃらけていましたが、誰も相手にしてくれず、そして、重苦しい空気に勝てず、言葉を失いました。そして、拝見し終わって、弔問客の列がまだあることに気付き、見てみると、岸谷五朗さんと、寺脇康文さんが並んでいらっしゃいました。お二人ともとても悲しそうでした。こんなにたくさんの人がじゃーもを好きだったのだと、改めて実感しました。
私は、私が自ら書いていたチョップのライブレポ、じゃーもも絶賛してくれた“チョップのココロ☆”をじゃーもにどうしても持って行って欲しくて、管理人に頼んでプリントアウトしてきてもらい、この後、奥様に渡し、「よかったら、一緒に焼いてください」とお願いしました。
…そして、私達は帰路に着きました。
じゃーもは、一度も起き上がることはありませんでした…。