06. 月に祈りを


満月すぎた月だけが
ぼくを追いかけてくる
はしゃいでいた昨日さえも
今は遠い昔

にぎわってた街が
爪痕だけを残し
心なしか ぼくを
孤独に近づける

光 届くように 今は
月に祈っている


海から昇る 赤い月
ぼくを照らしている
暗い空の向こう側に
何が待っているの?

幼い頃のぼくを
胸の奥に閉じ込め
大事なもの 何か
この手からこぼれる

せめて 光 届く 今は
月に祈っている




月さえも見えない夜に
ぼくは何を想う
冷たい闇に包まれて
何を求めてるの?

眠りについた空
淋しさも凍りつく
誰かのぬくもりに
この手触れていたくて

光 届かぬ 今もまだ
月に祈っている

月に祈っている
Written by Miyuki Kawabata